ヒップホップダンス必修化の現状とは?現場の声や対策
平成24年を境に、中学1年生から武道とダンスの両方が、文部科学省が制定する「学習指導要領」の改訂により必修化となりました。
武道は「柔道」「剣道」「相撲」、ダンスは「創作ダンス」「フォークダンス」「現代的なリズムのダンス」のそれぞれ3種目からの選択制となり、学校側や生徒が自由に選んで学習します。
武道に関しては以前から取り入れている学校も多いことから、それほど問題はないように感じられますが、メディアが注目したのは「現代的なリズムのダンス(ヒップホップなどのストリートダンス) 」の方で、今までにない教育内容に賛否両論が沸き上がりました。
特に今はダンスブームで、ヒップホップなどのストリートダンスは人気がありますからね。
あれから約7年が経ち、現在ではいったいダンスに授業はどのような変化が起きたのでしょうか。
ここでは、ダンス必修化の現状として、学校や生徒の声やどのように授業を行っているのか、その対策などをまとめました。
ダンス必修化による影響と問題点
ダンス必修化の動きが始まったのは学習指導要領が改訂されるおよそ4年前の平成20年頃で、当時から問題になるのではないかという指摘が多くありました。
実際にダンス必修化が始まると、教育現場である学校側は混乱し、たくさんの影響があります。
ダンス必修化のスタートは、決して順調とは言えない滑り出しとなりました。
教師も生徒も混乱
まず一番戸惑いを感じるのが指導する側の教師です。
ダンスが必修になる前の教育しか受けていない世代の教師に、突然「ダンスを生徒に教えなさい」となっても対応できるはずもありません。
授業をどう進めればよいのかわからず、男性教諭の実に90%近くがダンスの授業に不安を感じているという調査結果がでたほどです。
生徒も困惑気味
問題は教師側だけではなく、生徒側にも波紋が広がりました。
ダンスの認知度は高くなりましたが、ダンスに慣れ親しんでいない生徒が多く、授業のダンスはやや異質なものです。
それを突然受け入れろと言われてもむずかしく、踊るのが恥ずかったり、体の動かし方が分からず困惑している生徒が多いようです。
さらに、教える側の教師の指導力不足も相まって、満足のいくダンス授業にならないケースも多発しています。
先生と生徒はダンスをどう思っているのか
ダンスが必修化となり、一番影響を受けているのは先生と生徒です。
そもそも踊ることが苦手な先生・生徒もいれば、運動は苦手でもダンスは意外と得意という先生・生徒もいます。
果たして、現場ではダンス授業に対してどのように思っているのでしょうか。
教師側の声
前述したとおり、先生たちの多くはダンス授業に対してあまり好意的ではありません。
ダンス必修化直後に「公益社団法人日本ストリートダンススタジオ協会」が教師にアンケートをとった結果、男性教諭の90%、女性教諭の58%がダンス授業に不安があると答えたそうです。
これは当然の結果であり、ダンスの“ダ”の字も知らないド素人が、急に人に教えなさいと言われたってできるはずがありません。
今は空前のダンスブームですが、教師はダンスに慣れていない世代も多いはずです。
アンケートの数字が表すように、多くの教師が手探りで不安を抱えながら授業をしているのが現状なのです。
また、今はダンスを習っている生徒もいるので、生徒の方が知識もスキルもあり、先生の立場からするとダンスの授業が気まずくなることも。
生徒側の声
一方、授業を受ける側の生徒はダンス授業に対してどのような感想を持っているのでしょうか。
必修化が始まった直後はやはりとまどいのほうが先行していたようですが、現在ではそうでもないようで、子供たちの順応性の高さを感じられる結果となっています。
- ダンスが好きだから楽しい
- みんなの前で踊るのは恥ずかしい
- 武道よりもダンスの方が楽
- ヒップホップが踊れるから好き
- 運動はできないけどダンスならできる
- めんどうくさい
- 将来の役には立たないと思う
良い意見半分、悪い意見半分といったところでしょうか。
中には、放課後、グループで練習したりして青春できているのがうれしい、という意見も見受けられました。
また、ダンスはできる生徒とできない生徒の差が激しく、こちらも賛否両論です。
ダンス必修化の対策は2つある
ダンス授業は2つの方法に分けられる
現在ではダンスの授業はどのように行われているのでしょうか。
主に2つの方法に分かれます。
- ダンス講師を招く
- ダンスDVDを使う
他のスポーツ競技とは違い、ダンスはある程度の経験がないと、授業として成り立たせるのは困難です。
指導する立場の先生が教えられるだけの技術をもっていないことが不安視される中、多くの各学校では外部からダンス講師を招いたり、ダンス練習のDVDを見て教師も生徒も一緒に練習するような形をとっています。
これなら教師の指導力不足もフォローできますし、なにより本格的なダンスをきちんと身に着けることができるので、生徒はもちろん、親も安心して授業を受けさせることができます。
稀にダンススクールに通う先生もいますが、多忙を極める学校現場で働く教師にとって、あまりにも負担が大きいのではないかと思います。
一番現実的で手っ取り早いのはダンスDVDですが、市販されているDVDはダンス必修化に対応していない内容がほとんどです。
DVD選びはくれぐれも注意しましょう。
唯一、オススメできるダンス必修化対策に使えるDVDはこちら
>ダンス授業におすすめ!先生向けDVD教材
ダンスの評価付けはどうなる?
ダンスは授業です。
授業ということは、ほかの科目のようになにかしらの評価を受けることになりますし、場合によってはテストなどもあるはずです。
もちろん、単純にダンスの上手・下手はありますが、ダンス授業の本質は上手・下手での評価付けではなく、
- 動きに変化をつけて表現する
- 踊りを見て良さが見分けられる
などの技能や認識
- 仲間との協力
- 計画的な活動
などの学び方ができているかどうかを見ます。
ダンスを通じ、表現力やコミュニケーション学ぶことの大切さを一つの目的として、文部科学省が取り入れたと推測できます。
生徒側の立場からすると上手に踊れないとは不安に感じるかもしれませんが、それだけで判断されるべきではないですし、総合的に評価されるでしょう。
ダンス授業は個人的に嬉しいけど・・
個人的な意見ですが、単純にダンス授業(ヒップホップ)があるのはうれしく思います。
それは僕がダンス好きだからなのですが、一方でダンスが必修化になることに関して驚きもあります。
体育でいろんなスポーツ競技を学ぶのに、わざわざダンスを授業に取り入れる感覚はよくわかりません。(^_^;)
もっとも困惑するのは現役教師で、いきなりダンスを教えるってかなり大変なはずですから。
とくにストリートダンスなんてどうやって授業をするのか想像もつかないと思います。
ダンス授業は選択制なので、現代的リズムのダンス(ヒップホップなど)が必須ではないのが救いかもしれません。
将来的に大学で教員を目指す人は、ダンスの授業も受けることになるのかもしれませんね。
ダンス必修化とともに発足した、教員向けヒップホップダンス検定資格はこちら
>ヒップホップダンス基本技能指導士とは?検定内容や必要性を徹底調査
さいごに
ダンス必修化にはまだまだ課題が山積です。
とくに、授業としての確立がまだまだできていない現状を打破する必要があり、学校(先生)をサポートできるよう、対策をもっと講じるべきでしょう。
多くの学校が外部講師を招いたり、DVDでの授業を行うなどの努力は見られますが、理想はやはり自校の教師が直接生徒に指導することが望ましい形と言えます。
そうなるためには、教師側にもたくさんの努力と練習が必要になりますが、人手不足が叫ばれて久しい教育者業界では、ひとりひとりの教師の負担が大きく、それほど多くの時間を割いてまでダンスを習得できるほどの余裕を持てないのが現状です。
しかし、今後はダンスを学んだ世代が教師として教壇に立つことになり、以前に比べればスムーズに授業が展開できることも充分に期待できます
今後の動向が気になるところではありますが、決して暗い未来ではないように感じます。