ダボッとした服と同じく、ヒップホップダンス(ダンサーファッション)でよく見られるのが、ズボンの裾を片足だけまくり上げるスタイルです。

ダンスを踊っている人やB系ファッションの人などで、たまに見かけるあの格好ですね。

ヒップホップに興味を持った人なら、一度は「これって何か意味があるの?」と疑問に思ったことがあるはず。

片足の裾をまくり上げるのは、単に「かっこいい」だけでなく、いくつかの由来があるといわれています。

ここでは代表的な説を紹介します。

何故?ダンスでズボンの片側だけ裾を上げる意味

ヒップホップやストリートダンスでは、片方のズボンの裾を上げる格好が定番スタイルのひとつです。

このスタイルにはいくつかの説がありますが、もともとはデニムパンツが主流だった時代の、ストリート文化から生まれたと言われています。

1. ストリートの「武器を持たない」象徴説

もっとも有名なのが「武器を持っていない証明」という説です。

1980年代のアメリカでは、ストリートギャングの一部がナイフやピストルをふくらはぎに隠して持っていた、と言われています。

そのため、あえて片足の裾をまくって「オレは武器を持っていない」と示す仕草が広まった、という説があるのです。

このスタイルを世界的に知らしめた人物が、レジェンドの LL COOL J(エル・エル・クール・ジェイ)です。

1987年のアルバムジャケットやMVで、彼が太いデニムの片足を高くまくり上げた姿が印象的で、B-BOYたちの間で一気に流行しました。

現在では、この「武器を持たない」という意味そのものよりも、「ストリートらしさ」や「反骨の象徴」といったイメージをまとうファッション的な演出として定着しています。

2. スケートボード文化の影響

ストリート文化は、ダンスだけでなくスケートボードとも深くつながっています。

スケボーにはオーリーというジャンプ技があり、多くの人が最初に憧れる基本トリックです。

これは後ろ足で板を地面に叩きつけ、前足で板をすり上げる動きなのですが、この前足をすり上げる時にズボンの裾が擦れて穴が空いてしまうことがよくあります。

そのため、ズボンの裾をめくり上げてダメージを防いでいた実用スタイルがあり、その見た目がストリートダンスのファッションにも影響を与えた、という説です。

3. 自転車による実用説

日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、アメリカのメールボーイ(自転車便)から来ているという説もあります。

マウンテンバイクやロードバイクは、チェーンにカバーがついておらず、むき出しになっているものが多いです。

そのため、ズボンの裾がチェーンに引っかかって汚れたり破れたりしないように、チェーン側の片足だけをまくり上げていた、というわけです。

この場合はチェーンがある側、つまり右足の裾をまくり上げるのが理にかなっています。

メールボーイ由来の説を採用するなら右足が“正統派”とも言えますが、あくまで由来の一つに過ぎないので、実際には好きな方のズボンの裾を上げてOKです。

パンツの丈調整や片方の裾をキープする方法

B系ファッションが好きなら一度は経験する、「太さは最高なのに、裾が長すぎて引きずる」という悩み。

お気に入りのスニーカーをしっかり見せたい時や、片足上げスタイルを作りたい時に使える、「切らずに裾上げする小技」を紹介します。

輪ゴム(ヘアゴム)で秒速裾上げ

やり方はシンプルです。

  • 太めのゴムを裾に通す
  • ゴムごと2回ロールアップする
  • その上から生地をかぶせてゴムを隠す

これだけで、一瞬で丈調整ができます。

わざわざお直しに出さなくても、その日の気分や靴に合わせてシルエットを自由に変えられるので便利です。

この方法は普段着のシルエット調整には使えますが、激しいダンスの練習にはあまり向きません。

ステップを踏んでいるうちにズレてきてしまうことが多いからです。

現代では?今でもこの格好の人はいるの?

「実際、今どき片足だけ裾を上げているB-BOYなんて本当にいるの?」

と思う人もいるかもしれません。

今のストリートで「太いデニムをわざわざ捲り上げている人」は、当時のスタイルをリスペクトしているベテラン勢や、クラシックな格好を好む一部の層以外ではあまり見かけなくなりました。

しかし、このスタイル自体が完全に廃れたわけではありません。形を変えて生き残っています。

今のB-BOYやダンサーは、デニムの代わりに「ドローコード(紐)付きのスウェットパンツ」や「ジョガーパンツ」を履き、片足だけキュッと絞って高く上げるスタイルを楽しんでいます。

「デニムを捲る」のは手間ですが、スウェットパンツなら「片足だけスニーカーを全開で見せる」あのシルエットが簡単に作れるからです。

つまり、やり方(デニムかどうか)は変わったけれど、あの“片足だけ上がっているシルエットのカッコよさ”は今も現役というのが、現在のリアルなストリート事情です。

ダンス現場では、昔ほどデニムで裾を捲る人は多くありませんが、スウェットパンツなどで片足だけ裾を上げる人は今でもいます。

ダンスで片方のズボンの裾を上げる理由と意味のまとめ

片方のズボンの裾を上げる理由には、

  • 武器を持っていないという象徴的な意味
  • スケートボードや自転車など、ストリートならではの実用的な理由

といった、いくつかの説があります。

左右や高さに決まりはなく、「自分のスタイルをどう見せるか」が一番のポイント。

LL COOL Jがデニムで流行らせた歴史や、ストリート文化の背景を知ったうえで、お気に入りのパンツを自分らしく履きこなして、ストリートファッションを楽しみましょう!