ダンスに本当に役立つ体幹の鍛え方

ダンスに腹筋は無意味!?体幹の誤解と鍛え方

ダンスの体幹トレーニング

ダンスパフォーマンスをアップさせるのに大切なのが体幹(インナーマッスル)です。

 

大まかに体幹は胴体部分、インナーマッスルは身体の深い筋肉です。

 

厳密には、どこの部分を示すのかは、人によって、また、広義や狭義という意味でも違ってくるのですが、なんにせよ、腹筋は体幹に大きく関わっており、体幹を鍛える筋トレに欠かせない要素。

 

特にダンスの場合、体の軸を安定させたりキレよく踊るためには、この腹筋(体幹)を鍛えることが超重要です!

 

ですが、ダンスはよく「体幹!インナーマッスルを鍛えろ!」と言われますが、体幹とインナーマッスルについて誤解が多いです。

 

また、腹筋といってもいくつか筋肉があり、単に腹筋を鍛えるだけのトレーニングをやっても意味がありません。

 

ここでは、体幹の効果と鍛え方や、誤解について徹底解説します。

 

これから体幹トレーニングをやろうと思っている人は是非読んでくださいね!

ダンスの体幹トレーニングの効果

1.安定性+瞬発力でキレが手に入る

体幹を強化すれば、体の軸が安定して手足が機能的に活かすことができます。

 

そのため、ダンスの動きにキレが増したり、安定性が高くなるので、激しいステップやターンなどでグラつかなくなります。

 

体幹が弱くて軸がグニャグニャだと、パワーが伝わらずキレのない動作になったり、ピタッと動きが止められないなど、手足の動きに振り回されてブレブレなダンスになってしまいます。

 

体の軸(芯)が強いと、運動中の姿勢が安定し、手足にパワーがしっかり伝わるので、瞬発力が上がり、キレのある動きに繋がります。

 

キレは重心の使い方も大切です!
>一発!ダンスの重心の取り方&体重移動のコツ

 

2.空中姿勢がよくなる

体幹トレーニングの多くは、体の土台(体幹)を固定させる感覚を養うトレーニングです。

 

スポーツで大切なバランス感覚を養い、より姿勢を維持する力を身につけることができます。

 

空中姿勢とは、例えば、バレーボールならブロックをしたり、バスケットボールならシュート、ダンスならステップやターンなど。

 

体幹がしっかりしていると、自分の体の中に軸が一本できあがるので、どんな体勢でも理想的なフォームで動くことができます。

 

姿勢が保てないとダンスのターンも苦労します。
>目が回らない!ダンスのターンがうまくなるコツ

 

3.体力がつく

体が安定せずバタバタした躍りになってしまう人は、体幹というより全体の筋力不足も考えられます。

 

体幹トレーニングは、基礎代謝を上げたり、自宅でできる最も手軽な体力作りになります。

 

もちろん、ダンベルやバーベルを使って全身を鍛えた方が、大きな筋肉(アウターマッスル)が発達するので、基礎代謝が上がるしダイエット効果も高まります。

 

ですが、日頃から体を動かしていない人が、いきなり器具を使って筋トレをするのは正直キツいですよね。

 

それにダンスは筋肉がムキムキになるほどのトレーニングは不要です。

 

体幹トレーニングなら自重トレーニングで済むため、ケガのリスクも低いので、初歩的な体力作りの一環として最適ですよ!

 

体力やダンサー的美ボディ作りに欠かせないプロテインの効果はこちら
>ダンスにプロテインは必須!体を変える驚異の効果

 

体幹とインナーマッスルのよくある誤解

【誤解その1】体幹=インナーマッスル

体幹と聞くと「インナーマッスルのことか!」と誤解されがちですが、体幹=インナーマッスルではありません。

 

  • 体幹:頭、腕、脚以外の胴体(胸、腹筋、背中、腰回り、お尻)
  • インナーマッスル:体の深い場所にある筋肉の総称

 

インナーマッスルは曖昧で人によってさまざまな考え方がありますが、医学的に体幹はローカル筋とグローバル筋に分けられます。

 

  • グローバル筋:腹直筋、腹斜筋、脊柱起立筋など
  • ローカル筋:腹横筋、多裂筋、大腰筋など
  • (インナーマッスルとして紹介される場合は、腹横筋だけでなく腹斜筋も含まれることがある)

 

ローカル筋は背骨に直接つながっている深層部の筋肉で、よく聞くインナーマッスル(体幹として)はこれを指しているようですね。

 

体幹力を上げる体ための幹トレーニングでは特にローカル筋を鍛えることが重要で、背骨の動きを安定させて姿勢を調節し、体の芯を作る重要な筋肉です。

 

ダンスで体の軸の安定に必要なのもローカル筋!だからインナーマッスルを鍛えろ!と言われるわけですね。

 

【誤解その2】インナーマッスルを鍛えれば体幹トレーニングになる

体幹トレーニングは胴体部分の筋トレです。
インナーマッスルだけでなく、腹筋や背筋を中心にアウターマッスルも鍛えられます。

 

しかし、前述したように体幹=インナーマッスルではないため、インナーマッスルを鍛えればそれが体幹を鍛えていることにはならないので体幹力も上がりません。

 

体幹を鍛えるためには、先述したように「ローカル筋」を鍛えなければ、効果的な体幹トレーニングにはならないのです。

 

【誤解その3】体幹トレーニングでしかインナーマッスルを鍛えられない

体幹トレーニングでイメージが強いインナーマッスルですが、普通の筋トレ(腹筋やダンベルやバーベルなどの器具を使ったトレーニング)で鍛えられるものです。

 

そもそも体幹トレーニングは筋トレなので、特別なトレーニングではないですからね。(^o^;)

 

筋トレ自体がインナーマッスルを使わずに鍛えることは難しく、インナーマッスルが弱い人は、必然的にアウターマッスルも弱い(体の筋力が弱い)ということになります。

ダンスで重要な腹筋は腹横筋を鍛えるべし!

ダンスでよく取り組まれている体幹トレーニングは腹筋です。

 

なぜ腹筋がダンスに大切なのか。
腹筋には3つの層があり、腹直筋、腹横筋、腹斜筋があります。

 

インナーマッスルの解説

引用元:http://www.homepage-tukurikata.com/hp/folder.html
腹直筋:鍛えるとボコボコと割れる筋肉(6パック)
腹斜筋:ウエストをキュッと絞るお腹を斜めに走る筋肉
腹横筋:お腹のコルセットとして内臓を正しい位置に収めて姿勢を保持する

 

ダンスの動きを機敏にさせるなら注目すべきは腹横筋!
いわゆるインナーマッスル(ローカルマッスル)の一つですね。

 

腹横筋はあらゆる動作を行う際、真っ先に活動すると言われています。たとえば、普通の状態から手を動かす時に、まず最初に働くのは腕の筋肉でも肩の筋肉でもなく腹横筋なのです!

 

腹横筋が最初に活動し、体幹を安定させてから手足などの筋肉が働くため、この腹横筋が弱いと体幹が不安定になり腰への負担が増えてしまいます。

 

(ちなみに、、
腰痛患者はこの腹横筋が先に活動せず、手足の動きに遅れて腹横筋が活動してくるそうで、腰痛はダンスで多いケガですが、腰痛の緩和や改善にも大切ということです)

 

なので、この見えないコルセット(腹横筋)を鍛えることで、体の軸が安定し、手足にしっかりパワーが伝わるため機敏な動きが可能になります。

 

すなわち、、ダンスにキレが出る!キレが増す!ということです。

 

腰以外にダンスで気を付けてほしいケガと予防法はこちら
>ヒップホップダンスで多いケガとは?予防法もご紹介

 

よくある体幹トレーニングだけでは鍛えられない

普通の腹筋(クランチ)もそうですが、よく紹介されている体幹トレーニングと称した筋トレは、インナーマッスルよりも腹直筋(アウターマッスル)をメインで鍛えるものが多いです。

 

体幹トレーニングで定番のプランク(ブリッジバランス)がそうです。
意味がないトレーニングではないですが、腹横筋を鍛えるには不十分です。

 

プランク

 

腹横筋をダイレクトに鍛えられず、いくら体幹トレーニングで腹直筋だけを鍛えてもかなり非効率だし、体幹を強くする事はできないのです。

 

また、ベンチプレスやスクワットなどバーベルを使った強度が高いトレーニングでは、より体幹を安定させるためにベルトを使って物理的に腹横筋の効果を高めます。

 

このことからも、いかに腹横筋が体幹力に深く関わる筋肉なのかがわかると思います。

 

簡単!腹横筋の鍛え方

腹横筋は呼吸筋とも言われ、お腹に力をいれてへこましている時はベルトが締まっているような状態で、これがコルセットのように働いて体幹と腰回りを安定させます。

 

腹横筋だけを狙って鍛えるのは難しいですが、集中的に腹横筋を鍛えるためには「ドローイン=お腹をへこますこと」がポイント!

 

ドローインとは腹横筋を鍛えることができる呼吸法です。
鍛えるというより、意識しにくい腹横筋をうまく使えるようにする練習という感じですね。この呼吸法をマスターして筋トレに加えましょう。
ドローインとは呼吸法が違いますが、理屈はロングブレスダイエットと似ていますね。

 

ドローイン

1.大きくゆっくり鼻で息を吸う
2.ゆっくり口から息をはいてお腹をへこませる
(お腹をへこませて約20秒キープするなど方法はさまざまある)

 

このドローインを使って体幹トレーニングを行うと効果的です。

 

@腕立て伏せ+ドローイン

腕立て伏せと聞くと、腕(上腕三頭筋)や胸を鍛えるだけの筋トレでしょ?って思いがちですが、実は腹筋や背中も使うので、体幹を鍛えるのに効果的なんです!腕立て伏せは簡単ですが、フォームの重要性を知らず、効果が半減してしまう人が多いので注意してくださいね。

 

1.頭からつま先まで身体をまっすぐに固定して一直線になるように姿勢をキープさせる
2.その状態でしっかりと体を上下させる
呼吸は腕を曲げる時に息を一気に吸う→息を吐きならが戻すお腹が下がったり、腕だけを使わないように、お腹に力を入れて姿勢を保った状態でゆっくり行います
※ 通常の腕立て伏せが苦手な人は膝付きから始めましょう!

 

Aスクワット+ドローイン

スクワットは、お尻や太もも、股関節周辺にある体幹の大きな筋肉が働きます。さまざな関節や筋肉を使うのでバランスのよい体幹の筋トレです。シングルレッグスクワット、バーベルスクワットなどいくつかバリエーションがあるので、ご自身の筋力に合わせて無理のない範囲で取り組んでください。

 

1.足を肩幅くらいに広げ、腰を突きだし、太ももと床が平行になるくらいまで曲げる
注意点:足を曲げる時に、つま先よりも前に膝が前に出ないようにする、背中が丸まったり、膝が内側に入らないようにする
呼吸は膝を曲げる時に息を一気に吸う→息を吐きならが戻す背中が丸まらないようにして、つま先よりも前に膝が前に出ないようにしましょう
※ スクワットは膝をつま先よりも前に出すトレーニング方法もありますが、膝への負担が大きいので省略します

 

Bバランスディスクやボールを使ったトレーニング

体幹とレーニングとして僕のイチオシは手っ取り早く効率的に鍛えられるバランスディスクやバランスボールを使ったトレーニング!

 

バランスディスクやバランスボールはドローインの呼吸法を意識しなくても、腹横筋を鍛える体幹トレーニングになります。

 

というのも、ローカルマッスル(腹横筋)をいかに刺激できるかを調べた研究によると、腕も足も不安定な状態で運動をすると、腹横筋の活動量が増えたそうです。
※ 参考論文:効果的な体幹筋トレーニング方法の検討-異なる運動における腹横筋と内腹斜筋の収縮厚から-

 

これは足だけを不安定にさせたトレーニングでも腹横筋に効くという結果が出たようですが、研究結果から空中姿勢を維持するトレーニングの方がより効果的に鍛えられることがわかりました。

 

論文では空中姿勢をキープするトレーニングとしてレッドコードトレーニングと書かれています。
こんな感じ(体操競技のつり輪みたいなやつです)↓

 

レッドコートドレーニング

 

レッドコードトレーニングは自宅では難しいので、代わりに下記の動画のようなトレーニングは画期的です。(^^)v

 

バランスディスク×1のトレーニングのやり方

1.プッシュアップバーを握り、バランスディスクに両足を乗せて腕立て伏せを行う
動画は大胸筋も鍛えるためにプッシュアップバーを広い幅に置いて腕立てを行っていますが、使用せずに床に手や肘をついて腕立てや姿勢をキープしたり、バランスディスクに変えて行うのも効果的!
また、動画では1つのバランスディスクに両足を乗せて行っていますが、2つ用意して片足にずつ乗せて行うこともできます!
バランスディスク×2(もしくは手足と合わせて×4)にして行うと、レッドコードトレーニングと似た体幹トレーニングになりますよ!

 

バランスディスク(バランスクッション)

バランスディスクは、ストレッチや多種多様なレーニングに活用できる万能なバランストレーニンググッズ!楕円形で接地面が広く、厚みも5cmくらいなので、転倒してもケガのリスクが低く安全性が高いです。バランスボールよりもコンパクトなので、トレーニングスペースの確保も最小限で収納も楽ちん!

 

半球バランスボール

半円形になったバランスボールです。
接地面が真っ平らなので抜群の安定感があり、筋力が弱い方やバランスディスクの上に乗るのが難しい方でも、上に立ってトレーニングすることができますよ!空気の入った円形部分を下にしたり、付属のチューブロープを使って多様なとレーニングができます。

 

体幹トレーニングは気が向いた時にやるだけでいい

筋トレは継続することで少しずつ成果が表れます

 

体幹を意識したトレーニングは、普通の筋トレと違ってかなり地味ですが、体幹は一度つくと取れにくい筋肉です。

 

たとえ週1しか筋トレができなくても、正しいフォームで集中的にトレーニングができればちゃんと鍛えることができるのです!(できれば週3回取り組むのが理想です)

 

まずはあなたの体力に合ったペースと回数で取り組みましょう!!

 

さいごに

体幹トレーニングは、特にダンスのキレを出したい人や、まったく体力がないって人に取り入れてほしいトレーニングです。

 

ダンスのキレがない、バランスが悪いって人は、腹横筋を意識して体幹トレーニングを実践してみましょう!

 

また、体幹トレーニングだけをやるよりも、やはり本質的に体の機能を高めるためには、全体の筋肉を鍛えないとあまり効果が望めません。

 

インナーマッスルだけではパフォーマンスが向上しないという研究データもあるようです。

 

体幹トレーニングさえやっていれば、劇的にダンスパフォーマンスが上がるわけではないので、体幹だけでなくバランスよく鍛えることが大切です。

 

一般的な筋トレだけでも筋力アップや体幹(インナーマッスル)を鍛えることができますが、体幹トレーニングは体幹を強く意識できます。

 

他のトレーニング(通常の筋トレ)の補強として、体幹トレーニングを加えて追い込むのが効果的!

 

ここで紹介した筋トレは、体幹や下半身も鍛えられ、体力作りにも役立つのでオススメですよ!

 

ダンスはスポーツと同じように、身体を強くして根本的に身体能力を上げることが重要です。

 

体幹トレーニングだけをガンガンやるのではなく、通常の筋トレも混ぜて上半身と下半身をバランスよく鍛えましょう。

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