ダンスに柔軟性は欠かせない要素の一つです。
ダンスだけでなく、スポーツをする上で多くの人は「とにかく体を柔らかくしたい」と考えますよね。
180度開脚をしていたり、前屈でベターっと身体を床につけている人を見ると、「自分もあれくらい柔軟になればケガもしないだろう」「柔らかくなりたい」と思っていませんか?。
ですが、その考え方はちょっと危険かもしれません。
実は、ダンスをするうえで、体が柔らかいだけでは大きなリスクもあるのです。
逆に少しくらい体が硬くてもダンスは踊れます。
ここでは、ダンスに与える柔軟性のリスクや、どの程度の柔軟性が必要なのかの目安について紹介します。
ケガの元!ヒップホップダンスは柔軟性に注意
ダンスでは基本的に柔軟性は怪我のリスクが軽減したり他のメリットがあります。
しかし柔軟性があるだけではリスクもあります。
ここで言う柔軟性とは「関節の可動域」です。
この関節が柔らかすぎたり、柔らかいだけでは逆に怪我を誘発する可能性が高くなります。
しかも、大きな怪我をしやすく厄介・・
身体が柔らかいと関節の可動域が広くなりますが、柔らかいことで力を入れた時に正常な可動域を越え、可動範囲が広くなりすぎて関節の安定性を失ってしまいます。
これにより、骨同士(関節)の衝突やその周辺の筋肉へのダメージが強くなり大きなケガに繋がるのです。
ヒップホップダンスや他のストリートダンスの為に、極度に体を柔らくしようとする人は少ないかもしれませんが、過剰なストレッチにはご注意ください。
そもそもダンスの柔軟性とは?
柔軟性は身体が柔らかいことを指しますが、2種類に分けられます。
静的柔軟性
関節の可動域(動く範囲)を広げるのが静的柔軟性です。
座ったり立ったりした状態からゆっくりと身体を伸ばし、関節の可動域を広くします。
開脚、前屈、Y字バランスなどが当てはまり、一般的にこれらの静的柔軟性が優れていると体が柔らかいと言われます。
動的柔軟性
可動範囲の動作の中で、身体の関節わ筋肉が伸びたり縮んだりして、関節の動きを良くするのが動的柔軟性です。
いくら関節の可動域が広くても、その可動域の動きの中で柔軟性が発揮されるとは限らず、動的柔軟性は「身体の動かしやすさ」や「運動のしなやかさ」に影響します。
ダンスなどのスポーツは常に体が動いているので、「動きの中での可動域」がパフォーマンスに大きく影響し、動的柔軟性は重要視されています。
あのイチロー選手は意外にも身体が硬く(前屈など)、それでいてあまり怪我をしないのは筋肉がやわらかいからと言われています。
ヒップホップダンスに柔軟性は必要ない?
ヒップホップダンスはそこまで柔軟性が重視されるジャンルではありません。
硬くてもダンスは踊れる
体が硬いダンサーといえば、元EXILEのMATSUさんは有名だと思います。
テレビで公言されていました。
鉄板のようにガチガチに身体が硬いわけではないですが、前屈で身体がベターとなるほど柔かいわけでもない。
ダンサーだからといって全員が飛び抜けて柔軟性が優れているわけではないのです。
必要な柔軟性は動かしやすさ
柔軟性には2種類ありますが、スポーツと同じでストリートダンスも「関節の可動域」より「動きやすさ・しなやかさ」を意識した方がいいでしょう。
いくら身体が柔らかくて関節の可動域が広くても、関節や筋肉の動きがスムーズでないとパフォーマンスは下がります。
ただ、そのベースとなるのが静的柔軟性なので、ある程度の柔軟性は必要です。
バレエとかなら柔軟性がかなり重要ですが、あなたがこれからヒップホップダンスを踊るなら、人並み程度に柔軟性があればとりあえずはOK!
柔軟は時間がかかりますが、今は体が硬くてもダンス練習で徐々に柔軟性を身に付けましょう!
ダンスは柔軟性だけではダメ
ここまでダンスの柔軟性について、メリットや必要性をお伝えしましたが、それと同じくらい大切なことがあります。
柔軟だけをやらない
いくら柔軟性が高くても関節が柔らかいだけでは、ハードなダンスの動きには弱くて使えません。
ストレッチで柔軟性をつけるだけでなく、関節が広がりすぎないようにブレーキの役割をしてくれる「筋力=インナーマッスル」も同時に必要です。
関節の余分な動きを固定する役割があるインナーマッスルを鍛えることで、強い関節になり怪我を予防してくれます。
ストレッチをしっかりとやりながら筋力を高めていけば、瞬発力がつき、ケガも軽度で済むことがあります。
ダンスは柔軟性だけでなく、強さ(インナーマッスル)を持ち合わせていることが大切なので、柔軟だけでなくインナーマッスルの筋トレもしっかり行ってくださいね!
バランスが大切!
身体が柔らかすぎると大きな怪我のリスクがありますが、決して柔軟がダメというわけではありません。
むしろ必要なことです。
普通に体の柔軟性を高める分にはいいのですが、柔らかすぎるのも硬すぎるのも良くないだけです。
関節と筋肉は「可動性」と「安定性」の相反する機能を同時に発揮するため、この2つの機能のバランスが崩れるとケガにつながります。
- 柔軟性が低すぎる場合
ストレッチを重点的におこなうことで柔軟性を高めることができる - 柔軟性が高すぎる場合
筋力トレーニングによって安定性を高めることができる
身体が硬いと怪我をするだけでなく、スポーツ(ダンス)に必要な動作も不自由になります。
人それぞれで骨格が異なり、関節の可動域も個人差があるので、無理のない範囲であなたに必要な柔軟性を高めてくださいね。
ダンスに関するストレッチの正しい知識や効果的なストレッチ方法はこちら
ダンスの柔軟性の効果
柔軟性があるとメリットも大きいです。
ダンスのジャンルにもよりますが、多少体が硬くても問題ありません。
しかしあなたが床や足先にまったく手が届かないなど、明らかに柔軟性が低い状態ならちゃんと改善しましょう!
- 身体が動きやすい
可動域が広がり動きがしなやかになりダンスフォームも美しくなる - 疲れにくくなる
柔らかな筋肉や関節は血液やリンパ液の流れが良くなるので疲労物質が溜まりにくい - ケガの予防
柔軟性があれば筋肉の収縮の可動域が広くなりダンス特有の動きで筋を痛めにくくなる
これらはダンス的な面でのメリットですが、他にも「基礎代謝アップ」「冷え性改善」「痩せ体質」「肩こり腰痛の緩和と予防」などの効果もあります。
ケガ?ヒップホップダンスに柔軟性が危険な理由のまとめ
身体が硬くてもダンスは踊れるので、そこまで不安に感じなくても大丈夫です。
ただ、硬すぎるとケガやダンスの動きも硬くなるので、ある程度は改善しましょう。
身体を柔らかくしたり、柔軟性を取り戻すことはとても時間がかかります。
たとえ身体が柔らかくなってもストレッチを定期的に続けて維持してくださいね!